評論(単行本)
〜1970s
1962年8月
『世界の若者たち』
(新潮社)
(帯より)
戦後世代の代表的な知性、大江健三郎が、多種多様な同世代と対談し、また旅先の中国やソ連・東欧やパリで外国の同世代に出合う、心のふれあいの記録。
1962年11月
『ヨーロッパの声・僕自身の声』
(毎日新聞社)
(帯より)
東と西の両勢力に分れて 激しく対立する国々を訪ねたこの若い作家は そこで何を見 何を考えたか―/その体験を率直に綴ったユニークな旅行
1965年3月
『厳粛な綱渡り』全エッセイ集
(文藝春秋新社)
少年時の回想から、社会情勢への批判や文化・芸術批評まで、20代の若き大江が紡いだエッセイ集。「《戦後世代のイメージ》」、「強権に確執をかもす志」ほか、多数を収録。
1965年6月
『ヒロシマ・ノート』
(岩波新書)
(帯より)
広島の悲劇は過去のものではない。今日の問題である。1963年夏、日本の原水禁運動が苦悩にあえいでいる時、現地を訪れた著者の見たものは、十数年後のある日突如として死の宣告をうける被爆者たちの《悲惨と威厳》に満ちた姿であった。更にこれら死に至る闘いに立合う医師たちの献身であった。著者と広島とのかかわりは深まり「世界」に連載されたその報告は多くの人々の胸を打った。平和の思想の人間的基盤を明らかにした本書は現代という時代に対決した一作家の告発の書である。
1968年10月
『持続する志』全エッセイ集 第二
(文藝春秋)
大江による第二エッセイ集。「記憶と想像力」、「「沖縄の犠牲」とはどういう意味か」等、講演記録も多く収録。
1970年2月
『壊れものとしての人間:活字のむこうの暗闇』
(講談社)
(帯より)
読書は真の経験たりうるか―/作家の内なる世界を通し、人間存在の本質を追求する長編エッセイ。
1970年7月
『核時代の想像力』
(新潮選書)
(表紙より、著者の言葉)
核時代に人間らしく生きることは、核兵器と、それが文明にもたらしている、すべての狂気について、可能な限り確実な想像力をそなえて生きることであろうと思います。またその想像力を鈍らせようとする力については、微力ながらも抵抗しつつ生きることであろうと思います。
1970年9月
『沖縄ノート』
(岩波新書)
1965年以降、沖縄を繰り返し訪れた著者が、その地で起きていること、そしてその地に根ざした歴史と向き合い、「日本人とはなにか、このような日本人ではないところの日本人へと自分を変えることはできないか」(18頁)という命題をめぐって思考したプロセス。
1971年7月
『対話・原爆後の人間』
(新潮選書、重藤文夫との対談)
(表紙より、広島原爆病院初代院長・重藤文夫の言葉)
おそらく多くの人たちは、原爆被災の影響がそう長く続くとは想定していなかったし、おさまるものと考えていた。しかしながら私たち医学者は、最初から多くの可能性を予想し、被爆者医療をすすめていかねばならなかった。
1972年2月
『鯨の死滅する日』全エッセイ集 第三
(文藝春秋)
大江による第三エッセイ集。「言葉一九七〇(講演)」、「敗戦経験と状況七一」ほか、多数を収録。
1973年3月
『同時代としての戦後』
(講談社)
(帯より)
新しい〈戦前〉の予兆のなかで、われわれの時代としての〈戦後〉をより確実に認識し明日に向けてとらえなおすために、戦後文学者の存在に光をあてる意欲的長篇評論。
1974年9月
『状況へ』
(岩波書店)
1973年2月〜1974年1月にかけて『世界』に掲載(小田実による「状況から」と併載)されたテクストを単行本化したもの。「眼くらましの言葉」、「想像力的日本人」ほか、日本そして世界情勢をまなざして紡がれた12篇を収録。
1974年11月
『文学ノート 付=15篇』
(新潮社)
(帯より)
現代文学を、読み、書き、考えるための小説論!
小説論のほか、『洪水はわが魂に及び』の最終稿からとりのぞかれた短いテクスト15篇を収録。それらは、「最終稿では省かれたけれども書きつづけるあいだはつねに、この長篇の必要な構造体であった細部」(7頁)であると語られている。
1976年5月
『言葉によって:状況・文学*』
(新潮社)
(帯より)
あらゆる非人間的《状況》に抗議する文学者の証言/金大中の誘拐拉致、金芝河の再逮捕、ソルジェニーツインの国外追放、……異様、陋劣、粗暴な状況に抗して書かれた《政治的評論》と《文学論》《講演》など 11 篇。
1978年5月
『小説の方法』
(岩波現代選書)
長編小説『同時代ゲーム』に取り組んでいた時期の大江が、小説という言葉の仕掛けについて語った論考。異化、グロテスク・リアリズム、中心と周縁など、自身にとって重要な概念を紹介しながら、「方法としての小説」のあり方を論じる。
1978年10月
『表現する者:状況・文学**』
(新潮社)
(帯より)
戦後日本の《青春》を象徴した著者の長篇エッセイ/私的体験を語ることが、そのまま“時代表現”たりうる作家はおそらく稀であろう―処女作『奇妙な仕事』以来『ピンチランナー調書』にいたる二十年の作家生活を描く「出発点を確かめる」(《大江健三郎全作品》第I期、書下ろしエッセイ)、「わが【猶予期間/モラトリアム】」(《大江健三郎全作品》第II期、書下ろしエッセイ)の長篇評論のほかに、文学論を二篇を収録した評論集 700 枚!