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「アルバイト小説」としての大江文学
(8/8オープンセミナー)

2024年86



NEWSに掲載した通り、東京大学HMCオープンセミナー「大江健三郎のアルバイト小説を読む88日(木)17:00-18:30、オンラインで開催されます。

大江健三郎を中心とする戦後日本文学の研究者としてご活躍されている高橋由貴氏(福島大学准教授)をお招きし、大江作品が有する「アルバイト小説」としての側面に着目してご講演いただきます。

「奇妙な仕事」(1957)や「死者の奢り」(1957)といったごく初期の作品には、政治運動にも疲弊し戦後世代としてある種の閉塞感を抱えながら生きる若者たちの姿が描き出されています。そこに示された「監禁状態」の主題については、同時代的な政治・社会状況を踏まえた数多くの研究・批評がなされてきました。

高橋氏が注目するのは、これらの作品の主人公が「アルバイト」という立場に設定されている、という点です。つまり、彼らがある種宙吊りの状態で経済活動に従事しているという事実が、作品の鍵にもなっているのです。(実際、大江は学生作家としてデビューしていますし、「アルバイト」には彼自身も馴染みがあったはずです)

「アルバイト」という観点から見えてくる、大江文学の新たな読みとは? ぜひご視聴ください。


なお、高橋氏のご講演に先立ち、私・菊間が、短い報告を行います。ご講演に関連する大江の初期作品の特徴について、文庫所蔵の自筆原稿(「死者の奢り」など)を紹介しながらお話する予定です。

ご参加には事前登録が必要ですので、奮ってお申込みいただければと思います。皆様のご参加をお待ちしております。


(菊間晴子)