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菊間晴子「終末を生き延びるための「しるし」
菊間晴子「終末を生き延びるための「しるし」
大江健三郎『宙返り』論」
大江健三郎『宙返り』論」
2025年3月17日
2025年3月17日
2023年3月3日に大江健三郎氏が亡くなってから、2年が経ちました。
大江文学への関心は、昨今ますます強まっているように思います。
たとえば3月9日にはシンポジウム「大江健三郎を再読する―ジェンダーとセクシュアリティの観点から」(早稲田大学)、14日にはセミナー「大江文学と女性」(東京大学)が開催されました。
また、工藤庸子氏の『文学ノート*大江健三郎』(講談社)が刊行され、安藤礼二氏による「大江健三郎論」連載(『群像』2025年1月号〜)も始まりました。
多様な読みの可能性を内包した大江文学を、いまの時代において改めて読み直していこうとする潮流の勢いと、その意義を感じます。
大江健三郎文庫が所蔵する自筆原稿資料も、大江研究の新たな地平を開く鍵だと思います。
この度、拙論「終末を生き延びるための「しるし」 大江健三郎『宙返り』論」が、『昭和文学研究』第90集(昭和文学会)に掲載されました。
『宙返り』(1999)の自筆原稿および校正刷を、傍点付きで記される「しるし」という語に注目して検討することで、90年代大江の終末思想をめぐる思索、そのなかで探究されていた生き延びの可能性を明らかにした論考です。
2024年9月4日に行われた大江文庫設立一周年記念シンポジウム「テクストとコンテクスト」での発表(「大江健三郎と終末思想 90年代の小説作品を中心に」)の内容を、加筆・修正したものです。
ぜひご覧いただければ嬉しいです。
(菊間晴子)