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「大江健三郎を語る視座」ブックレット

2024年3月29



2023年10月21日(土)、第22回ホームカミングデイ文学部企画「大江健三郎を語る視座」が、東京大学本郷キャンパスにて行われ、多くの方々にご来場いただきました。

大江健三郎文庫の開設を記念し、大江文学の意義を様々な切り口から語り合ったこのシンポジウムの内容を採録したブックレットが、このたび完成いたしました。


「読むこと」と「書くこと」との緊密な結びつきから、大江健三郎という作家の肖像を浮かび上がらせた小野正嗣さんのご発表、大江文学のなかに近代主体としての「自立/自律的な自己」と、それに抗う「ケアの倫理」のせめぎ合いを見出す小川公代さんのご発表は、それぞれ大変刺激的でした。


また阿部賢一准教授のご発表は、大江文庫に寄託された『新しい人よ眼ざめよ』(1983)の自筆原稿などを読み解くことを通して、大江という作家における「翻訳」と「創作」の関係性に迫るものでした。私・菊間も、『宙返り』(1999)の自筆原稿と校正刷の調査を通して、大江がオウム真理教事件をどのように受け止め、「魂のこと」を追求していったか、その想像力のダイナミズムを明らかにすることを目指しました。


本ブックレットは東京大学文学部が発行しているもので、一般には販売されておりません。

送付をご希望の方がいらっしゃいましたら、文庫代表アドレスoebunko*l.u-tokyo.ac.jp , *を@に変えてください)まで、お問い合わせください。

(菊間晴子)